佐藤正栄堂 「時計/宝石物語」シリーズ Number 43
(2003年 7月掲載)


〜 魅惑の黒真珠 〜



黒蝶貝を母貝として、養殖される真珠を黒蝶貝真珠、一般に「黒真珠」と呼びます。
アコヤ貝真珠が、白を基色としたのに対して、黒蝶貝真珠は母貝の色の豊富さを反映して
、白、、黒、様々な色の真珠が作られます。


真珠の歴史というのは、天然真珠がそのはじまりで、
食べようとして貝をあけたら、きれいな粒が出てきたというのが
人間と真珠との出会いでした。


貝はふつうに生きていれば、プランクトンを食べて、海水中からは
カルシウムをとりこんで体を守る貝殻を作って成長し、繁殖していくのですが、
それがたまたま外部からの刺激によって(体の中に異物が入ってくるなど)、
ふつうなら作らないところに貝殻を作ってしまい、真珠層を形成する物質を、
貝殻以外の場所に分泌してしまう。これが天然真珠なのですが、
その真珠層を作っているのが、貝の体の中の外套膜という器官です。
養殖真珠は、この外套膜を切り取って小さな細胞片にして、
丸い核といっしょに貝の体の中に移植することによって作られます。
細胞片を挿入し、核を挿入したら、最初の真珠ができるまで約1年半、
海に貝を沈めておきます。


真珠の形にしても、真珠層の厚さから様々な形が作られます。
真円だけでなく、 ドロップ、サークルなど蝶貝真珠ならではの真珠です。
粒の大きさも大部分が大玉の9ミリ以上で、10〜11ミリのものが多いようです。


かつて日本では黒真珠は、慶弔用と考えられていましたが
現在はファッショナブルにつけるようになっています。


黒真珠と呼ばれるものにも、珠によって色の濃淡には幅があり、
「ダーク系」「グレー系シルバー・ブルー系」「グリーン系」「ブラウン系」の
4つに大別されています。
その貴重な黒真珠のうちでも最高色と言われるのが「ピーコック・カラー」です。
「孔雀色」の呼び名通り黒色の地色から孔雀の羽根のような光沢が
陽炎のように浮かび上がるその輝きは神秘的で、まさに息をのむほどの美しさです。
特級品の評価を受けるピーコックカラーはブラックパール全体のわずか
3パーセント未満しか採れません。


世界に出回っている黒真珠の90%がタヒチ産といわれています。
昔から「タヒチアン・ブラック」「タヒチの黒」と形容され、
格別に珍重されてきたのも美しさと共にこの希少性が尊ばれたからにほかなりません。